畳部屋からクッションフロアへのリフォームを考えたとき、多くの人の意識は、どのデザインのクッションフロアを選ぶかという、目に見える部分に向かいがちです。しかし、その仕上がりの美しさと、長期的な快適性を本当に左右するのは、実はその下に隠された「下地」の状態です。プロの世界では「床は下地が9割」と言われるほど、この下地作りはリフォームの心臓部とも言える重要な工程なのです。なぜ、それほどまでに下地が重要なのでしょうか。その最大の理由は、クッションフロアという素材の特性にあります。クッションフロアは、その名の通り、薄く、柔らかく、クッション性のある素材です。それは足腰に優しいというメリットであると同時に、下地の凹凸や不陸(平らでないこと)をそのまま拾って、表面に現してしまうというデメリットにも繋がります。もし、下地がデコボコなままクッションフロアを敷いてしまうと、歩くたびに違和感があったり、見た目にも波打って見えたりと、せっかくのリフォームが台無しになってしまいます。畳からクッションフロアへのリフォームでは、まず畳を撤去した後に、隣の部屋との床の高さを合わせるための「高さ調整」が必須となります。畳の厚みが約5〜6cmあるのに対し、クッションフロアは約2mm、その下に敷く合板も約12mm程度しかないため、この差を埋めるために、角材(根太)を組んで床の高さをかさ上げする必要があります。この根太をいかに水平に、そして頑丈に組めるかが、プロの腕の見せ所です。この下地工事の際に、床下に断熱材を充填すれば、冬場の底冷えを劇的に改善することもできます。クッションフロアは、あくまで美しい化粧(仕上げ材)です。その化粧が映えるかどうかは、見えない部分の素肌(下地)がどれだけ整っているかにかかっています。DIYで挑戦するにせよ、業者に依頼するにせよ、この「下地」の重要性を理解しておくことが、満足のいくリフォームへの第一歩となるのです。
仕上がりが激変!畳からクッションフロアへのリフォームは下地が9割