私はリフォームの現場で35年以上にわたって大工として腕を振るってきました。私にとってリフォームとは、単に古くなった木材を新しくすることではなく、家に刻まれた家族の思い出を大切に守りながら、今の時代に合った新しい命を吹き込む神聖な作業です。新築の工事と違って、リフォームの現場は毎日が驚きの連続です。壁を1枚剥がしてみると、そこには40年前の大工がどのような想いで釘を打ったのか、どのような工夫を凝らしたのかが刻まれています。時には、当時の手抜き工事の跡を見つけてため息をつくこともありますが、それもすべて含めて家の歴史として受け止め、私たちがしっかりと直して次の世代に繋いでいかなければならないと考えています。リフォームにおいて最も難しいのは、古い構造体と新しい材料を馴染ませることです。長い年月を経て微妙に傾いたり歪んだりした柱に、真っ直ぐな新しい床板を合わせるには、機械では測れない長年の経験と勘が求められます。私たちはミリ単位で木を削り、見た目には分からないほど自然な仕上がりを目指します。最近のお客様はインターネットで多くの情報を調べてこられますが、私はいつも「目に見える綺麗さだけでなく、壁の中の空気が流れる道や、土台の湿気対策にこそお金をかけてほしい」と伝えています。リフォームが終わって、お客様が新しいキッチンで嬉しそうに料理をしたり、暖かくなったリビングで家族がくつろいだりする姿を見るのが、職人として最大の喜びです。中には、解体した時に出てきた古い梁を捨てずに、新しいリビングのアクセントとして再利用することを提案し、喜んでいただけることもあります。家は生き物です。大切に手入れをすれば、それに応えるように住む人を守ってくれます。私たちはそのお手伝いをする黒子のような存在ですが、自分たちが打った1本の釘が、これからの家族の30年の安心を支えるのだという誇りを持って、今日も現場でカンナを動かしています。リフォームとは、過去と未来を技術で繋ぐ架け橋のようなものだと信じています。