都会の喧騒を離れ、郊外にある築80年の古民家を自分たちの手で再生させた佐藤夫妻(仮名)に、リフォームをDIYで進めるための心得を伺いました。夫妻が購入したのは、雨漏りがあり、床の一部が抜けていたという、お世辞にも状態が良いとは言えない家でした。そこから2年の歳月をかけて、自分たちが住めるまでに改装した過程は、苦労と発見の連続だったと言います。夫の健一さんは、リフォームの極意は完璧主義を捨てることだと語ります。古い家はどこも歪んでおり、定規で測った通りの直線はどこにもありません。そこに現代の建材を無理に合わせようとすると隙間ができてしまいますが、その隙間をどう埋めるか、あるいはあえて残すかという判断にDIYの醍醐味があるそうです。妻の美穂さんは、予算管理の重要性を強調します。最初はすべての工程を自分たちで行うつもりでしたが、断熱工事や屋根の補修などは、プロの道具とスピードには到底及ばないことを実感しました。そこで、基礎の補強や屋根、電気の配線はプロに任せ、内装の塗装やキッチンのタイル貼り、床の無垢材張りなどは自分たちで行うというハーフDIYのスタイルに切り替えました。これにより、安全性と予算のバランスを保ちながら、理想のデザインを実現することができました。作業中、最も大変だったのは冬場の床下の防腐処理だったそうですが、自分たちで潜って作業をしたことで、家の構造を細部まで把握でき、メンテナンスへの不安がなくなったと言います。夫妻のアドバイスによれば、これからリフォームに挑戦する人は、まず小さな1部屋から完成させていくのが良いとのことです。家中が工事現場のような状態が続くと精神的に疲弊してしまいますが、1箇所でも完成した快適な場所があれば、そこを拠点に次の作業への意欲を維持できるからです。自分たちの手で家に命を吹き込んでいく作業は、単なる節約以上の価値を生み出しました。古びた柱を磨き、現代の暮らしに合わせて間取りを変えていく中で、夫妻は家という存在が単なる箱ではなく、自分たちと共に成長していく生き物のように感じられるようになったそうです。
古民家を再生させた夫婦が語るセルフリノベーションの極意